キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「あのさ……」
「おはよー!みんな席に着けー」


言いかけた陽亮を遮り、タイミング良く徳山先生が入ってきた。


続きを聞く勇気も余裕も今はない。
逃げてばかりもいられないし一日中同じ空間にいるのだから逃げ切れないけれど、塞ぎたくなる耳。

聞きたかった声や嗅ぐだけでキュンとした香が、ただ涙を誘うだけのものになっている。


授業の間も業間の放課も陽亮は話し掛ける様子を見せたけど、どれも聞こえない振りをして過ごした。





落ち込みが目に見える程だったのか、数日ぶりに放課後私のところに揃って来てくれた三人。


ツバキとカエデはまだ完全には打ち解けていなかったけど、それでも四人揃うのは本当はそれほど時は経っていないのに、随分久しぶりな気がして嬉しかった。


「元気ないけど大丈夫?」


サクラが覗き込んで言う。
それに困ったような悲しいような笑顔で返すことしか出来ない自分が情けない。

今の気持ちをどう表現したらいいのか。


陽亮に裏切られたって気持ちと、そもそも陽亮から告白をされたわけではないから裏切られたのとは違うという想い。

何が悲しくて、何が悔しいのか。
ごちゃまぜになった糸が絡み合うように解けてくれる日が来る事がない気がする。


こんな事があったからこそ気付いてしまった陽亮への想い。

私は陽亮が“スキ“なんだ。
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