キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
分厚い曲名が書かれた本をペラペラとめくり、次に入れる曲を何にしようかと悩むサクラ。


「サクラは好きな人いないの?」


ツバキが熱唱する中掻き消されそうな声をサクラの耳元で大にする。


「いないよー‼なんで?」


負けず劣らずサクラも私の耳に口を寄せる。

なんでと聞かれると困るけど、ふと思ったことを聞いただけ。


部屋の中を暖めるエアコンの空気に揺れる柔らかい髪に、本を見る伏し目がちな瞳にかかる長い睫毛。

チークをぼかさなくてもほんのりピンク色の頬。恋をしている私より可愛い顔。


そんなサクラが恋をしていないのに違和感があったからかな。それとも恋を知った今、恋の素晴らしさをサクラとも分かち合いたいと思ったのかも。



なんでもないと顔を横に振ると口角を上げて笑った顔が印象的で、男に生まれてたらサクラを好きになってたかも。

と思う自分の危ない思考と闘っていたら、歌いたかった曲を歌い逃してタイムリミットが来てしまった。


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