キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
洗面所と部屋を慌ただしく往復する。


「アズサ、どこか出かけるのか?」


休日で遅めの起床でパパがパジャマ姿で寝室から出てきた。


「あ、うん‼友達とちょっとね……遅くなるかもだけど心配しないでね」


出来るだけ自然に出来るだけ不信感を漂わせない笑顔で言う。乾いたはずの体がシャワーしたてみたいに水分を帯びていく。


「そうか。気をつけてな」


それだけ言うとポリポリお尻を掻きつつ、トイレの中へ消えていくパパを引き攣る笑顔で見送る。


あ……危なかった。

パパは私を溺愛してるから、クリスマスイブに男の子とデートだと知った日には怒り狂って陽亮の首を締めかねない。
想像するだけで青くなる。


ママはもちろん知ってる運命共同体。
パパには秘密と口には出さなくてもしっかり胸に刻み込まれている。

娘狂のパパに言えるはずない。


陽亮が玄関のチャイムを鳴らす前に、寒さより血をみるのを避ける方向で少し早めに家の前で待った。
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