キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「言わなかったっけ?」


運ばれてきた子羊だかなんだかわからない骨付きのマスタードが添えられた肉を口に運び、しれっと言う陽亮。

まだ混乱気味で前菜やスープははっきり言って味がわからなかった。


「言ってない!聞いてない‼」


ナイフとフォークを握り締め、ガタンと机を叩く。誰の目も気にしなくていい個室に案内されたから、周りを気にすることはない。


「そうだっけ?でもホントは夜連れてきたかったけど予約がいっぱいで息子といえど断られたんだ」


残念そうに最後の一切れを食べながら言う。


このお店の存在を知らなかったけれど、豪華な雰囲気はクリスマスにはぴったりでイヴともなれば予約は満員なんだろうな。

それより陽亮ってもしかしなくてもお坊ちゃま?


出された料理やそれを引き立てる食器は高級そうで私の知らなかった世界。

複雑になる私のキモチ。
普通は喜ぶんだろうけど、急に陽亮が遠くなった気がして満腹とは違った締め付けで苦しくなってきてしまった。
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