キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
たっぷり3時間かけて出されたコースを食べ終わり店を出る。
最後に宇津木さんが私に向かって『またいらして下さいね』と言ったのを笑ってごまかした。
自転車はお店に置いておき、そのまま街並みを並んで歩く。周りはカップルだらけで、そこに溶け込めない私。
「どうした、さっきから黙り込んで。マズかった?」
聞かれて歩みを止め首を振り俯く。
「じゃあ、どうした?」
立ち止まった私と距離を縮め、覗き込まれた。
いつでも私と視線を合わせてくれる陽亮が好き。だからこそ、たったあれだけの事で遠い存在に感じてしまい寂しくなるんだ。
家柄がどんなだとか、そんなちっぽけな理由でも心揺さ振られる。行き交うカップルの中、浮いているのが悲しい。
心配そうに覗き込む陽亮が愛しくて、愛しくて。
「‥…‥好き」
初めて私は自分から陽亮の胸に飛び込んだ。
陽亮の背中に手を回し、独占したくなる香に包まれた。陽亮も優しく受け入れるよう私を抱きしめ返す。
見上げると、優しい瞳と視線がぶつかり縮まる陽亮との距離。
唇に陽亮を感じ、陽亮にも私を感じて欲しくて強く求める。
――求め合う。