キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
あてもなくただひたすら歩いた先の丘。
途中で買ったチキンをかじりつく。

フランス料理も美味しかったけど、庶民の味に慣れた私の舌に広がるこの味の方が美味しい。


ちらりと陽亮を覗き見ると、陽亮も同じなのかな。公衆の面前でファーストキスをしてしまった恥ずかしさより幸せだけが満ちている。


「見ろよアズ、プラチナツリーだ」


街の真ん中にある大きなツリーがここからでも見え、真っ白な光を放ち人々に美しさと幸福と今日という日を感謝させる。


「キレー……」

「だな」

「って、陽亮どこ見てるの!?」


ツリーじゃなくて私の顔を見つめてる。
フッと笑顔を零して肩を抱き寄せられて陽亮の顔が近付いてきた。

冷え切った唇からチキンの味。


「フライドチキンの味がする」


プハッと二人一緒に笑い、陽亮は身体を引き寄せて私は抱きすくめられた。


甘い!甘過ぎる‼
乙女な私は自分でも知らなくて、抱きしめられても浸れない私のどこが好きなんだろう……


‥‥‥ん?

「こらー‼どこ触ってるのよ‼」


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