キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
どこが好きかなんて聞かれても困る。

軽そうな容姿に軽そうな言動。
女は取っ替え引っ替えで来る者拒まずな陽亮が大嫌いだったのに、いつの間にか私の心に入り込み揺さ振る。



「着いたよ」


答えられないまま家の前に着いて、自転車から下りる。家々から漏れた光に照らされた陽亮の顔が寂しそうに微笑んでいた。

陽亮を不安にさせてる……よね。


「んじゃ気をつけろよ。ってすぐ家だけど」


空笑いの陽亮はそのまま自転車を漕ぎ出そうとした。


「待って‼」


車輪を止め、振り向く。
引き止めたはいいけど何を言えばいいの?何を伝えたら……


「どことか何がとかわからないけど、陽亮が好き‼最初は嫌いだったけど今は陽亮にしか揺さ振られないし、不安にならないし、キスだって陽亮じゃなきゃイヤ」


ダーー‼
嫌いとか言っちゃダメなのに、上手く伝えられないのが歯痒い。

頭を手で挟み悶絶する私の頭に陽亮の手が乗る。


「つまりはだ。俺とキスしたいってこと?」


何故か復活を遂げた意地悪な陽亮様。

ここで断れば気まずくなって付き合ってすぐ別れるという最悪なパターンがビュンと頭に風と共に過ぎ去る。


よーく考えよ~♪の歌がリフレインし、考えた結果頷く。


俯いたままで止まった私の顎に手を添え上に向かされると唇を重ねられた。

やっぱり陽亮とのキスは心臓が弾けそうだけど心地良い。
とろけるような甘いキス。



カチャ――キィィィ―……

唇が繋がったまま音のする方を見る。
バッと陽亮から身を離し身体が硬直の直立不動。



「ぱ……パパ‼」


不のオーラを身に纏い、悪鬼のような形相。黒い、ヒーー‼‼


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