キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
真っ白なふわふわした生地のロングコートのポッケに手を突っ込み寒さをしのぐ。

入れた手に当たるスマホ。見てみると自宅からの着信があった。

陽亮からの電話がバレると煩いから、ここ数日はサイレントにしてあって気付かなかった。


これからどうしよう……

自宅の電話番号を眺めていると、自分から家を出たのに恋しくなって帰りたくなる。


あっ、充電が無くなりそうだ。

昨日の晩、遅くまで陽亮と電話して充電をせずに握りしめたまま陽亮の優しい声を夢の中まで聞けるよう寝てしまったんだ。


誰かに連絡取れても良くて一人か……。


………………
…………

電話帳を検索してコールする。

数回コール音が鳴った後、受話器の向こう側から明るい声がした。その声を聞いたら不安だった気持ちが溢れて涙が出てきた。

でもゆっくり浸ってる時間もなくて手短に今置かれてる状況を説明する。


『わかった‼今どこ?』

「えっと……家の近くの公園にい」


僅かだった充電は無情にも無くなり、明かりさえも消えてただの使えない機械となったスマホが手に収まっている。


居場所わかったかなぁ……
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