キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
真冬の澄み切った空は高く、空気を冴え渡らせる。天を仰ぐと高い空に吸い込まれそう。

ハーっと息を吐けば白いもやもやとした雲が目の前に出来ては消えて行く。


……寒い~、早く来てぇ。


機能しない電話が手の中で冷たく凍え、ガタガタと身体が震え出す。人気のない公園はあまりにも寂しくて、たった数分待ち焦がれただけで不安の波に掠われそう。


もう帰ろうか?
何度そう思ったことだろう。

でもそうしなかったのは、居場所が聞こえてなくても必ず見つけ出してくれる確信にも似た感情があったから。



「……サー」


気の遠くなりそうな寒さの中、微かに聞こえた待ち人の声。


「アズサー‼」


家の近くで凍死寸前な惨めな私の耳に、今度ははっきりと聞こえて丸まっていた身体を起こす。


「サクラ‼それにツバキとカエデも‼」


三人が公園の入口に自転車を停めて私の元へと駆け寄ってくる。ブランコから飛び降り私もかじかんで縺れそうな脚を叩き走り出した。

三人に飛び付く私。


「フゴッ‼」


飛び付こうとした瞬間、カエデからのチョップが頭上にヒットした。
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