キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「あにすんの!?脳みそ飛び出るわ‼」


両手で頭のてっぺんを押さえカエデを上目遣いで見る。


「あにすんの!?じゃないよ!なんでうちらにも連絡入れないの、薄情者め」

「いや、あの、スマホの充電無くなっちゃって、連絡したかったんだけど出来なくて」

「あっそうなの?ゴメンゴメン」


肩をポンポンっと二度叩かれて、反省の色は見えて来ない。


「自分に最初に連絡来なくて拗ねてるんだよ」


ツバキが私に耳打ちをする。


そういう事か‼

ジンジンと頭は痛かったけど、可愛いところを見せてくれたカエデの気持ちが嬉しくて、やられ損だったけど忘れることにした。


「で、大まかにはサクラから来る途中聞いたけど詳しく話してよ」


ツバキが先立ってがらがらのベンチに腰を下ろし促す。





「とにかくパパさん説得しなきゃ進めないんでしょ?だったらアズサの家に行こうよ」


カエデがカラフルな手袋に包まれた人差し指を立てて提案する。


「今から??」

「今行かなくていつ行くの。うちらもそんな暇じゃないから次回繰り越しは無理」


寒さが身に堪え、必要以上にお互いの身体をくっつけながらツバキが物申した。


「エッ!?みんなも行ってくれるの?」

「当たり前じゃん‼何の為に来たと思ってるの?」


ツバキを挟んだ向こう側からサクラが身を乗り出して、私の鼻を指で突きブタ鼻にした。


「はひがとぉー……」


ブタ鼻のせいで上手く喋れなかったけど、みんなには充分伝わったであろう満面の笑みに囲まれた。


「じゃあ張り切って行きますか‼アズサのお宅訪問‼」


拳を高い空目掛けて突き上げるカエデ。

でも主旨はわかってる……よね?
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