キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
ママが煎れてくれた二杯目のココアが温かく甘い香を放ち、飲むとゆっくり甘さが染み込み身体の奥底から暖まる。


キッチンのテーブルで一人、パパが寂しそうにインスタントコーヒーをブラックで飲み苦い顔をしていた。

甘いのスキなくせに無理しちゃって……





私たちの立てた泣き落とし作戦は見事実を結んだ。

サクラは予想外だか予想通りだか本気泣きをしてて一瞬は焦ったけど、パパには効果絶大だったようで女達に占領された主は隅で小さくなったまま。


パパには悪いことしたけど、こうでもしなきゃ認めてもらえなかっただろうから。




「これ飲んだら帰りますね」


マグカップを手の平で包み、寒空の下でも耐えられるようココアの暖かさを確かめる三人。


「ゆっくりしていっていいのに……何なら夕食も一緒にどう?」

「いえ、自宅で食べるって言ってあるので」


ママの誘いを丁重に断るツバキ。

それもそうか。元旦だし忙しい中駆け付けてくれてるんだもんね。別の機会にでもたっぷりお礼しなくちゃ。


それにしてもツバキってば、さっきからスマホ気にしてない?

妙にそわそわしてるし……。


もしかして予定あったんじゃ!?


「ツバキ……」

ピーンポーン


私の呼びかけを遮り、少し反応の悪いチャイムが鳴る。ママが誰かしら?とパタパタとスリッパを鳴らせ玄関へ向かった。
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