キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「起立、礼」
徳山先生に担任として礼をするのは今日で最後かも。
弾けててはちゃめちゃで、でも生徒のことをよく掴んでて。みんな、徳山先生を尊敬はしてないかもしれないけど大好きではあったと思う。
深々と下げられた頭はいつもより長く上げられることはなかった。
「今日でこのクラスとはお別れだが、皆はずっと俺の生徒だから」
初めてまともな挨拶。
卒業でもないのにジーンと込み上げてくるものがある。
「だからもし困ったことがあればいつでも来い。俺がもし彼女と別れた時は誰か頼むぞ‼紹介は拒まないからな」
ズルーッと何人かが椅子から落ちて、落ちてない人は机の上に上半身を滑らす。
「やっぱり徳山先生は徳山先生だな」
陽亮は面白そうに徳山先生を見て耳打ちしてきた。
「ホントそうだね」
顔を見合わせて笑い合う。
陽亮とも離れてしまうだろうけど、繋がれた手は離さない。ギュッと絡めた指は私だけの温もりだから。