キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
手の中に顔を埋めると六本の腕に抱きすくめられた。


「心配するなって!イヤならうちらが陽亮君に上手く言ってあげるよ」


言葉に出さなくても不安な気持ちは伝わってしまう。

いつだってそうだった。伝えたい時は心でわかってしまう。


埋めたまま顔を振るとみんなの腕に力が入った。


「最初は誰だって不安だよ」

「ツバキもそうだった?」


顔を上げ、左側を見ると優しく頷く。


「でもそれ以上に幸せだったよ」


右側のカエデもいつもみたいな意地悪な微笑みじゃない。


「大好きな人と結ばれるのは素敵なことだよ」


正面からはやっぱり天使の微笑み。

王子様を探し求めてるサクラ。
出会った頃より大人びて、今は私よりよっぽど現実を見ているように見える。


いつもこの狭い空間で煩い音楽を聞きながら三人に助けられていて、落ち着ける場所ではないのに穏やかになる。


「私……頑張るよ」


ポンっと握られた両方の手の中、二つの小さな袋。


「ツバキー‼カエデー‼」


吠えるとお腹を抱えて笑う顔は小悪魔で、サクラは赤面。


結局のところ、成長しない私たち。
それが嬉しくて、安心して。

不安なんて吹き飛んだ。


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