キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「なんかついてる??」


ツバキの後ろ姿をじっと見つめていると、短めの髪を手で触りながら振り向き話し掛けてきた。


「あっ‼ごめんなさい……。なんにも付いてない……ですよ」


しまった……。
どうやら、かなりの熱い視線だったらしく、ツバキに気付かれてしまった。

慌てて、視線を外し俯いてしまう。


見ていた事を気付かれた恥ずかしさから、顔が熱くなるのを感じる。たぶん茹でたタコの様に真っ赤であろう顔を隠すくらいに下を向いた。

赤い顔を見られたくなくて、ほてりが冷めるまで上を向けずにいる。


人間観察もほどほどにしないとな。

一人で自己嫌悪に陥ってしまっていると『ぷっ‼』というツバキの吹き出した笑い声が聞こえてきた。


「別にいいよ。それにタメなのに敬語使わなくていいよ‼」


笑顔を見せながら話すツバキは最初の印象よりずっと親しみやすく、何より話しやすかった。



ツバキの声は少し低めで、人を安心させる力があるように感じる。

刺々しさがなく、サッパリとした話し方ではあるけれど、『冷たい』感じがしないのはツバキの人柄なのかも……。


もちろん、出会ったばかりだから性格まではわからないけれど、話し方や表情は心を表すものだから経験上ツバキは優しく頼りがいのある様に思えた。

< 23 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop