キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「ごめんね~、うちのお母さん感動屋さんなの」


ツバキが私の耳元で『親子だよね』と囁き、笑いを堪える。


出されたスリッパを履き、二階の階段脇にあるサクラの部屋に通され絶句。

天蓋付きのベッド
レースのカーテン
お姫様仕様のドレッサー

日本家屋の部屋が見事なまでに姫チックに仕立てられている。


サクラの執念恐るべし‼


「いや~、いつ来ても落ち着かないね、この部屋は」


ぐるりと見渡すとカエデの毒が巻き散り、サクラがプクッと頬を膨らます。


「なんで!?落ち着くじゃん‼ねっ、アズサ?」


私に振らないで‼

答えに困り、目を泳がすとサクラの膨れっ面に輪がかかる。




「で、なんでお泊りなの?」


機嫌の直らないサクラはデカウサギ人形を抱き、一人で話し掛けてる姿は異様で敢えて触れない私たち。

とりあえずは疑問だった今回のお泊りを尋ねる。


「あっ、やっぱアズサ忘れてる」


ツバキとカエデはあぐらをかき、丸いガラステーブルに肘をつきながら呆れた顔をした。


……忘れてる?
何を??
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