キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「もう明日なんだ……」


ポツリとカエデがいつもみたいな元気のある声じゃなく、どこか寂しげな声で言う。


「色々あったから卒業って信じられないね」


そうだね……

サクラと初めて会った桜並木。
席が近くて、いつも騒がしかったカエデとツバキ。


サクラの少し惚けてて、でもいつでも優しい心で包み込んでくれたところ。

カエデの短気なところや、自分に正直に生きているところ。

ツバキの大人で優しく、時には厳しく接してくれて真っ直ぐ前を向いて行けるよう導いてくれたところ。


全部、全部。
なに一つ出会った頃から変わらない。


「会える回数は減るかもしれないけど、密度の問題だよね」


暗い闇の中、明るく照らすサクラの声。


「こゆーくこれからもよろしくね」

「カエデが言うと何か変態っぽく聞こえるんだよねー」


うんうん。と頷く三人。
カエデは『なにおー!』と言い立ち上がり、私たちの上に順番に乗りくすぐり出す。


「ヤハハハ‼冗談だってば!だからやーめーてー‼」


全員くすぐり終わると、満足そうに鼻を人差し指で擦るカエデ。
私たちの目が光るのも知らずに。


「ヤハハハハ……イーヤーハハハ」


そして例の如く仕返しされるカエデ。
ハァハァとはしゃぎ過ぎて、しかも夜中の12時だというのにこのテンションの高さ。

ホンット変わらない‼
< 246 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop