キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「朝から楽しそうだな」

「陽亮!おはよ」


自転車置き場に停め、陽亮に駆け寄るとギューっと抱きしめられた。


「ちょ……陽亮。みんな見てるって」

「最後は俺と一緒に行って欲しかったのに」


身体を離すと拗ねた顔の陽亮。


「まっ、うちらの友情には勝てなかったってことだよ、陽亮君」


カエデが陽亮の肩をポンッと叩き、しみじみとした口調で言う。


「そんなことないよな」

「そんなことあるよね」


右の腕をカエデに引っ張られ、左の腕を陽亮が引っ張る。


「痛い痛い!いい加減にせんか、おのれらは‼」


それが合図だったように二人いっぺんに手を離したから、バランスを崩しペタンと下に尻餅をついた。

見上げるとカエデも陽亮も笑うのを必死で我慢している。


「わざとか‼」

「バレたか」


ペロリと同時に舌を出すカエデと陽亮を、起き上がり追いかける。


「このー!最後の最後までからかうんじゃありませーん」

「「キャーー」」


男のキャーはキモいから、陽亮くん。


「はいはい、もう終わり‼そろそろ行くよー」


ツバキが手を叩いて召集をかけると、従順な私たちはツバキの元へと息を弾ませながら集まる。


「俺は先行っとくからまた後でな」

「あーい‼また後から教室行くね」

「じゃあうちらも行きますか」


下駄箱でそれぞれのクラスの棚から上履きを出して、履き変えて廊下を歩く。
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