キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
体育館に入ると、舞台から1番近くに私たち卒業生の席がずらりと作られていた。

その後ろに在校生。
1番後ろに来賓の方々。


予行練習通に列を作り、自分の席の前に立って号令で一斉に座る。

校長先生の長い話を聞き、浸れないこの雰囲気。えんび服がゴキちゃんに見えるの私だけー?


『卒業証書授与。代表、栗生陽亮』

「はい」


……はい?

よよよ陽亮、代表だったの?
全然聞いてないよ‼


檀上に登って行く後ろ姿は凜としていて、こんな時だけど惚れ直しそう。
あちこちでため息交じりの声が聞こえてくるのは、陽亮が放つ眩しいくらいの光があるから。


校長から卒業証書を受け取り、こちらに向かい一礼をする。

下級生からもキャーと歓声とイヤーという泣き声に近い叫びが聞こえてきて、陽亮のモテ度は健在だったことを証明した。


でも気にしない。


「アズー‼卒業してもずっと一緒にいような」


檀上からもらったばかりの卒業証書を振り、叫ぶ陽亮。真っ赤になりながらも、大きく頷き陽亮に応えた。

一斉にこちらを向く視線が突き刺さる。


やっぱ気になるかも……





ちょっとしたハプニングもあったけど、『仰げば尊し』を歌い始めれば涙が溢れる。周りの啜り泣く声が余計に煽る涙。

そして曲が静かに終わり、私たち卒業生は順番に体育館から出た。


たくさんの思い出と涙を残して。
< 251 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop