キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
……え?

え!?


えええっ!?


吐き出すように一気に言い終えたサクラの頬はピンク色に染まっていて、気がつかなかったけど恋する乙女の表情をしている。


しかも昨日!?

着いていかない思考を必死で追い付かせようとする。


待って、待って‼サクラは王子様を待っていたはず。
でも目の前の新倉君は王子様というより従者がぴったりの脇役系。

地味な顔立ちに地味な服装。
『第一印象は?』と聞かれれば『地味です』と百人中百人が答えるんじゃないかってくらい。


ツバキとカエデも新倉君とサクラに何かあると踏んではいただろうけど、いざ目の前に突き付けられると言葉を失ってしまったみたいだ。



「じゃあ、俺先に帰るね」

「あっ、うん!ありがとね、わざわざ。また夜メールするからね」


新倉君は丁寧に頭を下げたあと、鞄から2000円出してテーブルに置くと颯爽と去って行った。


涼しいはずのエアコンの付いた店内は、ここだけ熱帯地。驚きと混乱が体温を急上昇させ、背中に汗が流れるのを感じる。
< 259 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop