キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「ちょっと待って。言ってる意味がわからない……サクラが……そんな冗談やめてよ」


頭では否定してるのに。
心では拒否してるのに。

違う違う違う‼
何かの間違いだよね?


そうに決まってる‼


『冗談なんかじゃないよ!さっき家にサクラのお父さんから連絡があって……それで……ウック』


途切れ途切れのカエデの言葉がだんだんと現実味を帯びてきて、ドッキリとか悪い冗談なんかじゃないって突き付けられる。


『帰りの高速で雨で滑ったトラックの巻き添いになったらしくて……それで、それで……』


そこまで言うとカエデは続けられなかったみたいで、受話器からはカエデの悲痛な叫びに近い泣き声が聞こえてきた。


全身の力が抜ける。

スマホを握る手でさえも、握っていられなくなり――



その場に

ポトリと


スマホが静かに落ちた 。

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