キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
玄関の扉を開けると、白の車に乗った陽亮が出迎えた。助手席のドアを開け、見送るママに小さく手を振り乗り込む。


「ウッス。カエデちゃんとツバキちゃんの家向かえばいいんだよな?」

「……うん」


私の言葉を聞き、慎重に車を発車させた。

私は陽亮の顔を見ることが出来ず、窓ガラスを濡らす雨の雫をぼんやりと眺める。


陽亮の顔を見たら、ボロボロになるくらい泣いてしまう。甘えるのは全てが終わってから。

そう決めて来た。


長い付き合いがそうさせているのか、陽亮は何も言わなくてもわかっているらしく、最初の一言だけで会話はなく水しぶきを飛ばし車を走らせる。


幸せだった日々が雨の中に全て溶け出してしまいそうで眼をつむりたいのに、閉じれば涙が流れてしまいそうで重たい瞼を必死で開け続ける。


走る車はいつもよりスピードが遅く、二人の家に着くまでの時間が長く、長く感じた。
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