キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
差し出されたマイクを受け取るかどうか初めは迷った。

こんな大勢の中話すことに慣れていないのもある。何より、サクラに何を伝えればいいのか、何を伝えたいのか上手く纏まらないから。


だってこれが最期でしょ?
形あるサクラが見れなくても触れる位置にいるのはきっと……永遠に最期になる。


なのに何を言えばいいの?

躊躇う私の肩に二つの温かい感触が触れた。俯いていた顔を上げると、眼でカエデとツバキは私に訴えかける。


《最期だからこそ》

――そう言われた気がした。


私は強く頷き二人に応えるようマイクを握り、中央に置かれたサクラの棺の傍に来た。寄り添うよう、支えるようカエデとツバキが私の隣に立つ。


私の想い……私たちの想いをサクラに届けよう。

決心をして大きく息を吸い込んだ。
弔問客と親族に向かい深く頭を下げる。



「まずは、皆様に謝らなければなりません。
 
このピアスで不快に思われた方も沢山いらっしゃると思います。

このピアスは……私たちの変わらぬ友情の証なんです。

私と横にいるツバキとカエデ。そしてサクラと共に一緒に開けた思い出のピアスをどうしても今日はして来たくて……」
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