キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
二人の支えもあるが、何とか自分の脚で地を踏む。ゆっくり深呼吸をしてから、サクラの棺に右手を置きサクラに語り掛けた。


「ねぇ、サクラ。私ね、サクラやカエデ、ツバキとの事を思い出に出来そうにない。

思い出って儚くて脆いから。自分の好きなように改ざんしちゃう時もある。


だから……だから私はサクラと過ごした日々を記憶として留めて行くから。

不確かじゃなくて、脆くない記憶として刻み込むから。

だからサクラ。サクラは一人ぼっちじゃないからね!

私たちと共にある。寂しくなんてないから……だから今は……



今だけはゆっくり休んでね」


流れる涙を拭うこともせず、マイクを静かに棺の上に置いた。

横で見ていたサクラの両親が『ありがとう、ありがとう』と何度も涙ながらに頭を下げている。

私は駆け寄りサクラのお母さんと抱きしめ合い、痛みを分かち合った。





そしてサクラは真っ黒の大きな車に乗せられ、クラクションが鳴り響いたあと旅立って行った。



「……サクラ!イヤだよ‼」


車を追い駆け出そうとする私の腕を強い力で引っ張られ、その胸に抱きすくめられた。
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