キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「迎えには来れねーけどゴメンな」


会場となる市民会館に着き、車の窓を開けて言った。


「大丈夫。帰りはパパに迎えに来てもらうから」


ブォっと排気音をたてて陽亮の乗る車が道の角を曲がるまで見送り、知ってる顔を探した。





小、中学校の頃の友達に久々に会い、陽亮に送ってもらった場面をたまたま見ていた子たちにあれこれ聞かれたあとは、退屈な市長の話を聞きお開きになった。


「これからみんなで飲みに行くけどアズサも来ない?」


何人かの同じような誘いに「ゴメン、先約があって」と同じような断りを入れた。


駐車場に予定より早く迎えに来ていたパパの車に乗り、苦しい着物を早く脱ぎたくて帰りを急かす。


それにこの後の支度もある。
着物のままじゃ出掛けられないし、髪だって着物に合わせたセットだから一度シャワーを浴びて付いたクセを取りたい。


車内で巻いてアップにされた髪をほどくと、パパが「まだ写真撮りたかったのに」と子供みたいに言ったのが可笑しくて笑った。
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