キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
カエデから指定された居酒屋は想像よりお洒落で、オジサンたちが集うというより若者向け。

青い照明が雰囲気を出し、照らし出されたカウンターの奥のグラスやお酒のビンが宝石みたいに光っている。



【メリクリ!1月10日の夜明けておくこと‼時間と場所はおって連絡する!】


短くて半ば強制ともとれるメールは腹を立てるより気持ちを浮かせた。

今日会う事が出来たらと思っていた矢先のメールに、変わらない友情を、カエデなりの愛情を感じた。



「いらっしゃいませ。お一人ですか?」


うっすらとヒゲを生やした渋い男性に急に声をかけられ、キョロキョロと挙動不審だった私はピョンっと身体を飛び上がらせた。

そんな私をクスリと笑われ、薄暗い店内に感謝するくらい頬が紅潮するのがわかる。


「待ち合わせてて……あと二人いるんですが」


来ているか来ていないかわからなくて、曖昧に答えた。


「あぁ、もうお見えになってますよ。どうぞこちらです」


右手を差し延べ、私を導く。

ドキドキと早鐘を鳴らす心臓を抑えるようにゆっくりと後を着いていった。
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