キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
少し入り組んだ店の1番奥の、ガラスから外が見渡せる席にカエデとツバキはいた。


「ご注文が決まられた頃、また伺います」


紳士な笑顔で渋店員はコツコツ木の床を鳴らせて去って行く。


「久しぶり。待たせてゴメン」


そう言って、コートを椅子に掛け開いた席に座る。


四人掛けのテーブルは、埋まっているのは三つだけ。空いた席に視線を一瞬落とすと、寂しさが掠めそれを拭うよう笑顔を二人に向けた。


「待ったよー」


膨れるカエデも、久しぶりに会い離れた時間を埋めるみたいに明るい。


「陽亮君とは相変わらず?」


社会人になって落ち着きと女らしさに磨きがかかったツバキの指に光るダイヤの指輪。結婚はまだ先だけど婚約は済ませた、と連絡があったのはたった二週間前。

ツバキは高校から付き合っている彼と愛を育み実らせた。


「うん‼順調だよ」


いつかツバキの様にまだまだ小さい実だけれど、大きく実らせたいと願いを込めて大きく頷く。


「とりあえず飲み物決めよ」
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