キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
カエデが差し出したメニューを開き、パラパラとめくりフードの欄を飛ばしてドリンクメニューを見る。


カクテル、洋酒、日本酒、焼酎にソフトドリンク。どれから見ようか迷うくらいの種類を、まだ決めてなかったカエデとツバキと共に選ぶ。


どれもこれも見たことのない大人な世界のネーミングで、心踊らせる。


カシス系にしようか、それともオレンジ系のカクテルにしようか。日本酒や焼酎にはまだイケないお子ちゃまな私は無難にカクテル系に目を通す。


「うーん……どれにしよう」


カエデとツバキも決めかねていて、同じページを何度も見返す。


そういえば……

ふと、いつの日かサクラが言ってた言葉を思い出した。



「ねぇ、サクラが昔言ってたこと覚えてる?」


いつからだったろう。
私たちの間でタブーみたいにサクラの名前を出さなくなったのは。


サクラの存在が大き過ぎて、失った喪失感はそれ以上に大き過ぎて。サクラの名前が出れば必ず誰かが涙を堪えきれず泣き出すから。
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