キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて


私たちが高校を卒業してから二ヶ月余り経った頃。


『今夜飲みに行かない?』


土曜の夜、ツバキから連絡があってすぐにOKの返事。


しょっちゅう顔を合わせてる私たちが、初めてお酒の席を共にした夜。

サクラだけはソフトドリンクを頼んだ。


『サクラは飲まないの?』


聞くと、ストローでグレープフルーツジュースをゴクゴク飲みながらプハァーっと息を吐いた。


『だってまだハタチじゃないよ?』


今度はジュースをストローで掻き交ぜ、氷を鳴らしながら小首を傾げる。


『まぁ、そうだけど……』

『みんなだってハタチじゃないから本当はダメじゃん』


わかってるよとばかりに肩を竦めると、サクラはまた美味しそうにグレープフルーツジュースを飲んだ。


『それに私ね、決めてるんだ』

『何を?』




この答え。


今でも覚えてるよ。




「「「ハタチになった瞬間にビールで乾杯」」」


声がハモってクスッと懐かしむように笑い合う。
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