キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「何に乾杯する?」


私とツバキもカエデに続いてグラスを取り、冷たい感覚が指を伝う。

んーっと首を傾げ、サクラの座るはずだった席を見つめ口を開いた。


「サクラの誕生日に」


一層高くグラスを掲げ、ツバキを見る。


「成人式に」


ツバキの持つグラスがカエデのグラスと同じ位置に来て、二人が私を見つめる。


私の視線を二人からサクラのグラスに移動し眼を閉じサクラを思い出す。

楽しい時、嬉しい時、悲しい時だっていつも一緒に過ごした日々を思い起こす。



瞼の裏に張り付いたサクラの笑顔は今も輝きを失わずそこにある。

もちろんカエデとツバキの笑顔も。


だから言うべきことは唯一つ。
閉じていた瞳を開け、すっと息を吸い込んだ。


もう大丈夫。

私たちは変わらない。
何があってもずっと友達だからね。


その願いを込めて……



「私たち”四人”の変わらぬ友情に」



「「「乾杯」」」


カチンとグラスを鳴らせ、サクラのグラスに重なった。



< 304 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop