キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
外に出ると、夏の蒸し暑い温度が夜になり少し和らいでいるよう。

冷房の効いた店内から出ても、そんなに辛く感じない。



「月綺麗だね」


ミホが晴れた夜空を眺めながら澄んだ横顔で言う。


私とメグミも同じように空に浮かぶ月を見上げた。


月は満月ではなく、四分の一ほど欠けた下弦の月。どこか寂しげで、欠けた自分を憂いているよう。


それでもそこはかとなく美しく、いつかまた丸い円を取り戻そうとする姿は神々しいまでに輝く。


時間を忘れ、いつまでも見上げる月は欠けてもその高潔さは失わない。



サクラ、まるで貴女の笑顔のようだよ。


とても綺麗で

とても心に染み込んで


輝く貴女の笑顔のような、優しい光が私たちを包み込む


いつまでも、ずっと……









【完】
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