キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「じゃあ、自分の机ごと持って移動しろよー」


全員が自分の席の場所を確認し終えた頃、徳山先生は重い腰を上げて指示を出した。

私たちも自分の席に戻り、移動の準備を始める。


カエデとツバキとは席が近いものの、離れてしまうのが寂しいなぁ……。


席を移動する前に、カエデとツバキにひしっと抱き着きお別れをする。

今生の別れでもないのに大袈裟な……


「じゃあ元気で……。さよ~なり~」とハンカチを取り出し、ヒラヒラさせ別れを告げる演技をした。

舞台はまるで渡航船で異国に渡る恋人達の気分。カエデとツバキはゲラゲラ笑っている。


よしっ、ウケた‼

二人の反応に満足したので、やるべき事もやり切り机の移動に取り掛かる。



ヨイショ、ドッコラセと、女子高生とは思えないババ臭い掛け声を心の中で掛けながら机を移動させた。


こんな事なら使わない教科書を持って帰れば良かった、と今更ながら後悔する。


徳山先生も、席替えするなら先に言えちゅうねん‼

自分の事を棚に上げ、かなりお門違いな事を思った。
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