キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
あれから、陽亮は何食わぬ顔で教室へ戻り普通に授業を受けていた。

もともと陽亮とは話す事もないし席も離れていたから、時々目が合ってしまう事はあったけれど。気まずさと恥ずかしさで、すぐに目を逸らしてしまっていた。


陽亮も何も言ってはこないしいつの間にか忘れていたのに、まさか席が隣になるなんて……。




陽亮は机を運び、椅子に座ると体をこちらに向けた。


私はあの時の事を思い出していたから陽亮をまともに見る事が出来ず、視線を感じてはいるものの気付いていない振りを続ける。


ううっ……、すっごい見てる気がする。あの時の事怒られるのかなぁ。
自分だったら、ああいう場面を他の人に見られたら怒るか泣くかのどちらかだもん。



数分間の沈黙が続く中、その沈黙を破った陽亮がトントンッと私の机を人差し指で叩いて来た。

無視するのもなんだし、気まずさがある中、仕方なく陽亮の方に顔だけ向ける。


「やっとこっちに向いたな‼これからよろしく、アズ‼」


いきなり呼び捨てかい‼
しかも、『アズ』って呼んでるしっ‼
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