キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「早く顔洗って着替えてらっしゃい。今パン焼くから」


クスクスと笑うママ。

ママの言わんとする事は私が1番わかっております。


小学生が遠足の時に早く目が覚めるのと同じレベルだからね。ええ、自分でもわかっていますとも。



ママの含み笑いに、今までだったら反論反撃の嵐。

負けるとわかっていても、ママとは親子喧嘩ではなく姉妹喧嘩みたいになるのが、一人っ子の私にはちょっぴり楽しくてわざと喧嘩を吹っかける事もある。


でも私は生まれ変わった。

子供はもう卒業。
今日から私は高校生になったんだもん。


素直に『はーい』と言い、洗面所へ向かう。パシャパシャとまだ冷たい水を気合いを入れて顔にかけ、タオルで拭き部屋へと上がって行く。


立ち居振る舞いも優雅にこなして、ドタバタ五月蝿い足音だって今日からは滑らかそのもの。


私って……おっとな~

自分で自分を褒めてあげる。
こんなところが子供だって私は全く気付いていないのは言うまでもない。

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