キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
翌日からは、陽亮やアカリの事を忘れるかの様に、試験勉強に没頭する事にした。


少なくとも休み時間の間はサクラたちと一緒にいれるし、授業中も陽亮が小声で何か話し掛けて来ても試験が近いと言う理由で、返事もそこそこに授業に集中する事にした。



でも、本格的にテスト週間に入ると、今まで楽しみだった放課後のサクラ達とのひと時もままならないのが辛い。

ここ何日か、習慣になってきている私のため息。このままじゃ、一年生が終わるまでに、私の幸せ逃げっぱなしだよ。


カエデにも「そんなにため息ばっかりついてると、早く老けるよ?」なんて言われてしまった。

わかってはいるけど、やめられない止まらない状態。


「たまには気晴らしに、どっか行く?」


サクラが優しく私を遊びに誘ってくれた。


『行く~~‼‼』の『い』の字まで口から出かかったけれど、私のせいでサクラたちの成績を下げるわけにもいかない。


「ありがと。でも大丈夫‼そのかわり、テスト終わったらいっぱい遊んでね」

「もちろん!でもアズサ、ホントに大丈夫?」


サクラが心底心配そうな顔で私に言う。

イカン‼
最近、暗い顔ばっかりしていたから、サクラたちに心配かけてばかりだった事をサクラの顔を見て反省。


あっ。『たち』ではないか。
カエデは私の最低・最悪な席を笑っていたからな。まぁ、悪い事も笑いに変えるところもカエデのいい所だけど。

深刻になってばかりだと、余計に落ち込むのをカエデはよくわかっているし。



とにかくサクラに指でVサインを作り『元気』アピールをし、私は大丈夫だからと言って試験後までは遊ぶのを我慢する事にした。

あと自分に対する『ため息禁止令』をこの時に出しておくのを忘れずに。

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