キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
「ダメだ。かかんないな。メール打っていい?」


ダーーー‼
だから私に話し掛けないでくれ。


「うん」


また二文字の短い返事で返す。三文字以上は、公式と頭の中で共存不可能です。


そんな訳あるかいな!?

自分で自分にツッコミを入れる程に壊れかけてる。


「サンキュ!助かったよ」


陽亮が私のスマホを差し出しながらお礼を言う。

私はというと、まだ数字やアルファベットたちと格闘中の為、陽亮を見る余裕がないので陽亮に目を向ける事もなくスマホを受け取る。


「どこわかんないの?」


いつの間にか私の机の横にしゃがみ込み、陽亮が私の教科書を覗き込んでいた。


「こ、ここ」


あまりにも陽亮が自分の近くにいすぎる事に少しだけドキドキして、どもってしまった。


別に、陽亮の事が好きな訳じゃないけど、15センチ程の距離に男の子の顔があれば誰だって緊張してしまうはず。


目と目が一瞬だけ合ったけれど、その目がいつもより真剣で思っていたよりも綺麗で慌てて逸らしてしまった。


陽亮の甘い香水を身近に感じ、公式を指した指が震えてしまいそうなくらいに緊張する。
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