“幸せ”だって無くして気がついた 馬鹿な僕だから
最近クリニックに来た“安村 ミサト”もそうだった。
父親を理不尽な理由で奪われた不憫な女。
5人目のターゲットを欲していた僕からしたら、何て良いタイミングで現れてくれたんだと感謝した。
だけど彼女のことを調べていくうちに分かった、警察が仕掛けた“おとり捜査”。
国家公務員の力は恐ろしい。
保険証も免許証も偽物が用意できるなんて。
しかし、どれだけ書類をごまかせても“顔”だけは整形しない限りごまかせない。
“安村 ミサト”の情報が何も出てこない事に疑問を持った僕は、
待合室で順番を待つその姿を密かに盗撮し、
顔認証ソフトを使ってネットで捜索した。
彼女は細心の注意を払い、
完璧に患者に成りきっていたが、
僕がそこまで調べるとは警察も思っていなかったんだろう。
彼女の同僚だと思われる人物が何年も前に投稿したFacebookがヒットした。
“ちょっと遅めの新年会!
今年も頑張りましょう!”
というコメントと共に、
投稿者の男性、
安村ミサト、
他数人がグラスを持って乾杯している写真。