“幸せ”だって無くして気がついた 馬鹿な僕だから


今振り返ると、
僕は逃げようとも思えなかった。


“逃げられない”
蛇に睨まれた蛙のように、本能がそう悟った。


僕は警察に負けたんじゃない・・・。
この男に・・・。


そう思った瞬間から、もうこの男以外の刑事とは話したくなくなった。




「え~っと・・じゃあ今日は4件目の犯行当日の行動から・・・。」



何日も続く取り調べは今日も淡々と始まった。


何日も続いているのに、
一向にこの男は聞いてこない。


僕はその為に犯罪被害者の復讐代行という形を取ったのに。

その為に用意したものなのに。

ついに僕は痺れを切らす。



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