“幸せ”だって無くして気がついた 馬鹿な僕だから
ホームセンターで購入したナイフで抉るあの力加減は何物にも言いがたい快感だった。
ほんの少し力を入れる。
力みすぎるとズボズボといってしまう。
シェイクを飲む時に、ジュースよりも少しだけ力を入れてストローを吸う感覚に似ていた。
突き刺したナイフを抜いたときの迫田の返り血は美しかった。
そして体から解き放たれた血というのは意外とよく飛ぶ。
自分の顔についたものを人差し指でぬぐい思わず舌を出して舐めた。