“幸せ”だって無くして気がついた 馬鹿な僕だから
・・よし!
咄嗟に口を突いたデタラメだったが、
父親は信じ込んだようで居間に戻ってテレビ台の上に置いてあった財布に手を伸ばす。
「ちょっと・・どういうつもり?」
小声で早苗さんが俺に話し掛けてきたが、
目で“話を合わせて!”と訴える。
「うーーんと・・・。」
「ありませんか?」
俺も父親の傍に近寄る。
「そうですね・・・。
すみません、
めっきり老眼がひどくなって・・。
老眼鏡どこだったかな・・」
「良かったらご確認させて頂いてもいいですか?」
父親と一緒に再びテーブルに座り財布を貰う。