“幸せ”だって無くして気がついた 馬鹿な僕だから
「実は先生のご意見を伺いたいことがありまして。」
「なんでしょうか?」
「私達は今、3ヶ月前に発生した刺殺事件を捜査しています。
殺されたのは迫田 ムネヒコ 30歳。
この男は未成年当時、22歳のOLの強姦殺害の被疑者でした。」
「・・・・それって・・もしかして・・?」
「はい。先生の患者さんである、早川 ゴロウさんの娘さんを殺害した男です。」
「ニュースで見ました。
“鉄槌者”の裁きを受けた1人目の被害者でしたっけ?」
「その事なんですが・・・。」
打ち合わせ通り、まずは真田さんが切り出してここで口を止める。
阿吽の呼吸で今度は俺が口を開いた。
「今から話す内容は他言無用でお願いします。」
「・・・はい。」
真田さんから目線を俺へと上げた野崎が不思議そうな顔をして頷く。