“幸せ”だって無くして気がついた 馬鹿な僕だから
「お待たせしました。
2週間前になります。
もうその時はすっかり表情も穏やかになって僕も安心したんですよ。」
野崎はカルテを取って戻ると再び椅子に座った。
「先生・・・足を怪我されてるんですか?」
カルテを取りに行く時、野崎は右足を引きずるようにしてそこへと向かっていった。
誰が見ても一目瞭然・・。
早速真田さんがそこに食いつく。
「学生時代サッカーをやっていましたが、
プレー中の怪我で足をやっちゃいまして。
もうずっとこの状態です。」
「・・・そうですか。」
「大好きなサッカーがやれなくなった事で当時の僕はかなりショックを受けましたが、
病院の先生がずっと僕の事を励ましてくれましてね。
親身に寄り添ってくれたその先生がとてもカッコ良く思えて・・。
僕が心療内科医を目指そうと思ったきっかけです。」
「・・・・日常生活への支障は大丈夫ですか?
私の友人にも足を悪くしてしまった奴がいるんですけど、
重たい物を持ち運びする時が結構きついって言ってました。」
「もう慣れっこですよ。
仰る通り、踏ん張りが効かないのでカルテの一斉移動や院内の大掃除の時はいつも佐々木さんに手伝って貰っていますけどね。」
「佐々木さん?」
「受付にいた子です。」
「ああ、あの可愛い子ですか。」