“幸せ”だって無くして気がついた 馬鹿な僕だから
怒りに震える捜査員達を刑事課 川辺課長が必死に鎮めている。
「真田さん・・。」
ずっと無言で資料を見ていた真田さんだったけど、
声を掛けるとおもむろに立ち上がった。
「皆さん落ち着いてくださいよ。
まだ何も見つかっていないこの状況で裁判所がガサ入れの令状発行してくれると思いますか?」
「西島が過去に殺したお婆さんの孫が、また“野崎クリニック”でカウンセリングを受けていたんだぞ。
もう疑念の余地は無い!!」
「朝からそんな大声出さないでくださいよ。
ちゃんと聞こえてますから。」
“なんだと!?”と更に真田さんに突っかかる捜査員を“まぁまぁ”と落ち着かせる。
鉄槌者はまだ俺達警察がマークしていることに気付いていないはず。
真田さんはそこに奴を崩す突破口があると見ていた。
「引き続き野崎の身辺を洗いましょう。
裁判所を納得させる材料が出れば、
ガサ入れの令状も出る。
これまで犯行に使われた凶器がまだ1つも見つかっていない点から、犯人がまだ所持している可能性が高い。
だからガサさえ出来ればこっちの勝ちです。」
真田さんの話にようやく場が落ち着きを取り戻して捜査会議が終わった。