【短】あなたの声。

『お母さんが早く帰ってくる』
なんて当然嘘。


だから、家に帰ったって1人。

親に泣いてるところを見られないからいいけど……。


このマンションにお母さんと二人暮らし。

ううん。
ほぼ、一人暮らしかな?


奏じゃない、違うことを考えているのに出っ放しの涙。


受信ボックスを開き、
授業中に来たメールを消す。

このメールを見た瞬間はすごく嬉しかったのにな……。


今見ると、
このメールの裏にはなにがあるの?
本当はどんなのを打ちたかった?

もしかして、『別れよう。』とか?


あたし、こんな性格してたんだ。

こんな暗いコなんだ。


悪い方にしか考えらんない。

だけど、
この状況でいい方に考えるのは、無理。


ケータイの画面には
“削除しました。”
の文字。


なんか、あっけないな……。



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