【短】あなたの声。

「結月、どうしたの!?
 その目……。」

そう言ってきたのは親友の瞳(ひとみ)


頑張って隠したのに。

すぐバレちゃったな…。

「ん、昨日のドラマで……。」

そんなの“嘘”だけど。


「嘘だ。結月ってテレビとかで泣かないじゃんっ。」

「なんかあたしの心が冷たいみたいじゃんっ!!」


…ってあたしの心はホントに冷たいと思うけど。

親友に嘘吐くようなコだもん。

「それに、昨日入ってたのはコメディ系で泣けるとこなんてありませんでした~。」

ふぅ。
さすが瞳だな……。

「なにがあったの?
 あたしには言えない?」


心配そうに、寂しそうに聞いてきた。

「……奏が、浮気してるかも…。」

“浮気”
口に出すのが辛かった。

認めたくないよ……。

「うそ……。」


あたしは昨日あったとこを全部吐き出した。

途中、涙を堪えすぎてむせた。

…あたしダサすぎだね。


そこでチャイムがなった。

授業なんて受けられない。


机に顔を伏せたまま起き上がらなかった。

眠れもしない。


頭で回るのは、奏のことばっかり……。

< 19 / 35 >

この作品をシェア

pagetop