【短】あなたの声。

昼休み、瞳があたしの席にきた。


「結月、奏サンにお姉ちゃんとか妹いないの?」

「分かんない。」

「もしかしたら、妹かもよ?
 カオリってコ。」


「…でもっ、」

「『でも』じゃない。
 今はそう考えるしかないでしょ?
 聞いてみな?」


そういって瞳は
あたしのポケットからはみ出るストラップを指差した。

ケータイのストラップ。


アドレス帳の奏の名前を見て手が思うように動かない。


それでもなんとかメールを打った。

―――――――

奏って妹とかいる?

―――――――

絵文字を入れる余裕なんてない。

短い文章なのに、

いつもなら1分もかかんなんのに…。

3分はかかった。


返事はすぐにきた。

――――――――

いないよ。

俺、一人っ子…。

いきなりどうして(?。?)

――――――――


「兄弟、いない。って…」

「そう……。ごめん。」

「瞳は悪くないでしょっ?」

「ん。」


『なんでもない』
と、メールをうち、ケータイを閉じた。

タイミングよくチャイムがなり席に着いた。


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