【短】あなたの声。
…どうしよう。
ドキドキがおさまらないっ。
あたしは、“声フェチ”だ。
鎖骨とか、
筋肉とか、
香りとか。
世の中にはいろんなフェチの人がいる。
そして、あたしは“声フェチ”
受話器越しに聞こえた
低くて、澄んだ優しい声。
さすがに、声だけで人を好きになったりはしないけど。
1番最初に気になってしまうのは声。
しばらくするとようやくドキドキが収まってきた。
よし、出るか。
電話ボックスから出て、言われた小さな喫茶店に向かった。
「いらっしゃいませー。」
若い店員さんだなー。
店はすごく落ち着いていた。
なんか、あたしだけ浮いてない?
ぐるりと店内を見渡す。
ふと、目に付いた男の人。
大学生っぽいな。
テーブルにはいくつかの参考書。
そして
キラキラにデコレーションされたあたしのケータイ。