【短】あなたの声。

その男の人も落ち着いた感じなのに、
あたしのケータイだけがかなり浮いていて。

あまりに不釣合いでなんだか笑えた。


「あの~。」

声をかけ、振り返ったとき。

ドキドキが再来した。


ヤバイッ。
カッコいい。

飾り気が全然ないのに、カッコいい。

やわらかそうな焦げ茶色の髪。

髪とおんなじ色した瞳。


とにかく、かっこよかった。

「はい?
 あ。ケータイのコ?」


声と見た目が合わさってドキドキが速さを増す。

「はい。」


いつものあたしなら、
『早く。ケータイ返してください!』

とかいってたかも……。

だけどなんか穏やかな気持ちになる。


なんで?

店の雰囲気?

この人の雰囲気?



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