【短】あなたの声。

ブンブンと首を振って

「本気ですっ本気っ!」

「じゃ、よろしく。」

「よろしくお願いしますっ。」


『やぁったーー!』
叫びたいくらいだけどココは落ち着いて。

店の雰囲気に流されてみよう。

「あ。タメ口でいいからね?
 付き合ってるんだし?」

「は、…あ。うん。」


『付き合ってるんだし。』

ぼぼぼぼっと顔に熱がのぼった。


連絡先を交換してとりあえず今日は帰ることに。

「じゃあ、また…ね?」

「気ぃ付けて帰れよ?」

「うん。ばいばい。」


くるりと奏に背を向けたとたん

「まって。」

と声がした。


「え?」

「送ってく。」

「いいの!?」


「…彼氏ですから。」


照れくさそうに呟いて、手を差し出してきた。

これは繋いでいいってこと、だよね?


キュッと握ると大きな暖かい手で握り返してくれた。



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