Piano~ピアノ~
Piano:好きになってもらいたい!④
***
『今日バイトでドジって、店長に叱られちゃいました。お仕事お疲れ様です、おやすみなさい。賢一』
上記のようなメールを、一日最低でも一回送信している俺。相変わらず叶さんの返信は、素っ気ないもの(絵文字や顔文字一切使用せず)であったけど、必ず返信してくれた。
メアドを教えたという責任で返信してくれてるだけかもしれないけど、それでもやっぱり嬉しかった。
そんなやり取りが、十日程続いたある日。
いつものようにくだらない内容のメールを送信したら、思いがけない返事がきた。
『今日、店まで迎えに来られる?』
読んだ瞬間、携帯を持つ手が震えた。お迎えメールじゃないか!
鳴かぬなら鳴くまで待とう、ホトトギス作戦成功。待った甲斐がありました。
早速、二つ返事の返信しようとポチポチ。ん? ……待てよ。
お迎え→自宅まで送る→お礼をしたいからどーぞ→自宅にお邪魔する→そのまま……そのままの後が、まさやん的な考えになってしまった俺ってばイカンイカン。
相手は叶さん、そんな上手いこといくはずがない(断言!)
何か、ないかな。
そう思った時に、目の前を谷村教授が通りかかる。
そこで、びびっと閃いた!
『お迎えは大丈夫です。お迎えついでなんですが、授業で分からない所があるので教えてもらえませんか? 賢一』
ポチっと送信( ̄ー ̄)ニヤリ
浅はかな考えだが、もしかしたらもしかする。
数分後、返事がきた。
『背に腹は変えられない、閉店十時だから宜しく』
ズズーン、俺って一体……。毎度のことながら叶さんの返信ってば、わざと俺を凹ませているんじゃないかという内容が多い。心が弄ばれてる気分である。胸中複雑だが、頼られていることには代わりない。
凹む気持ちを払拭し、メールの新規作成をする。相手はまさやん。
『今日叶さんと帰ることになったので、バンドの練習パス。イェーイヽ(´∇`)』
送信っと。
叶さんと帰れる、何を喋ったらいいかな。頭の中は今夜のことでいっぱいだった。
スキップしたいのを堪え、小腹が空いたので売店へと向かった刹那、携帯が震える。
『現在のお前、間違いなくヤバい顔をしているに違いない。顔の筋肉を引き締めるべし。帰り道、襲われないように注意しろよ(笑)』
まさやんからのメールを読んだ瞬間、思わず顔に手を当ててみた。そういえばこの間も、ゲッと言われたんだった……。
売店へ寄る前にトイレに直行して、鏡の前で表情をチェックしてみた。うん、大丈夫!
だけど叶さんの前に出たときに下心丸見えの、だらしない顔していたらどうしよう。
さっきから赤くなったり青くなったりと忙しい俺。整える必要がない短髪に、手櫛を通してトイレから出る。
『帰り道、襲われないように注意しろよ(笑)』
叶さんがそんなことをするわけがない←やはり断言
襲いたいのは俺の方なんだから……。
この間ライブハウスで一瞬だけど抱きついたときの、守ってあげたくなるような華奢な体から香ったほのかな石鹸の薫り。思い出すだけでポワーンとする。
(――っとヤバい、顔の筋肉引き締めなければ!)
売店へ行くまでに、何度も顔を変形させる俺であった。
『今日バイトでドジって、店長に叱られちゃいました。お仕事お疲れ様です、おやすみなさい。賢一』
上記のようなメールを、一日最低でも一回送信している俺。相変わらず叶さんの返信は、素っ気ないもの(絵文字や顔文字一切使用せず)であったけど、必ず返信してくれた。
メアドを教えたという責任で返信してくれてるだけかもしれないけど、それでもやっぱり嬉しかった。
そんなやり取りが、十日程続いたある日。
いつものようにくだらない内容のメールを送信したら、思いがけない返事がきた。
『今日、店まで迎えに来られる?』
読んだ瞬間、携帯を持つ手が震えた。お迎えメールじゃないか!
鳴かぬなら鳴くまで待とう、ホトトギス作戦成功。待った甲斐がありました。
早速、二つ返事の返信しようとポチポチ。ん? ……待てよ。
お迎え→自宅まで送る→お礼をしたいからどーぞ→自宅にお邪魔する→そのまま……そのままの後が、まさやん的な考えになってしまった俺ってばイカンイカン。
相手は叶さん、そんな上手いこといくはずがない(断言!)
何か、ないかな。
そう思った時に、目の前を谷村教授が通りかかる。
そこで、びびっと閃いた!
『お迎えは大丈夫です。お迎えついでなんですが、授業で分からない所があるので教えてもらえませんか? 賢一』
ポチっと送信( ̄ー ̄)ニヤリ
浅はかな考えだが、もしかしたらもしかする。
数分後、返事がきた。
『背に腹は変えられない、閉店十時だから宜しく』
ズズーン、俺って一体……。毎度のことながら叶さんの返信ってば、わざと俺を凹ませているんじゃないかという内容が多い。心が弄ばれてる気分である。胸中複雑だが、頼られていることには代わりない。
凹む気持ちを払拭し、メールの新規作成をする。相手はまさやん。
『今日叶さんと帰ることになったので、バンドの練習パス。イェーイヽ(´∇`)』
送信っと。
叶さんと帰れる、何を喋ったらいいかな。頭の中は今夜のことでいっぱいだった。
スキップしたいのを堪え、小腹が空いたので売店へと向かった刹那、携帯が震える。
『現在のお前、間違いなくヤバい顔をしているに違いない。顔の筋肉を引き締めるべし。帰り道、襲われないように注意しろよ(笑)』
まさやんからのメールを読んだ瞬間、思わず顔に手を当ててみた。そういえばこの間も、ゲッと言われたんだった……。
売店へ寄る前にトイレに直行して、鏡の前で表情をチェックしてみた。うん、大丈夫!
だけど叶さんの前に出たときに下心丸見えの、だらしない顔していたらどうしよう。
さっきから赤くなったり青くなったりと忙しい俺。整える必要がない短髪に、手櫛を通してトイレから出る。
『帰り道、襲われないように注意しろよ(笑)』
叶さんがそんなことをするわけがない←やはり断言
襲いたいのは俺の方なんだから……。
この間ライブハウスで一瞬だけど抱きついたときの、守ってあげたくなるような華奢な体から香ったほのかな石鹸の薫り。思い出すだけでポワーンとする。
(――っとヤバい、顔の筋肉引き締めなければ!)
売店へ行くまでに、何度も顔を変形させる俺であった。