白馬の王子は待ちません


おそらく…言わなくてもいいことを、
言ってしまった。

あ。と、気付いた時には、
その人がクスクス笑ってて。

なんで、笑われてるんだろと思ったら。


いや、ごめんなさい。
そんな感じ…すごい出てましたよ?
と、まだニコニコしてる。

僕も…実は友達に引っ張りだされた口で。
こんなとこ来るのは初めてで…。
でも、皆さんすごい真剣だから。
失礼の無いようにと、頑張ってたんですが…
千恵さんは、こう、ふーんわりしてらして。
あれ?なんかこの人違うなーって。


そ、そうでしたか?
それは、すみません…。

いえいえ!そんな謝る事はないです。
ある意味…お互い様な感じで。
と、また笑う。

僕自身…正直、今、結婚願望がすごい
ある訳じゃ無くて…。
あ、全くない訳ではないですよ?

でも、千恵さんとなら、少し楽に
話せそうかなと思ってしまったもので…。
お誘いしました。
僕の方こそ、すみません…。


なんだか、すっかり恐縮してる…。
思わず、こっちも構えていた力が抜けて
楽になった。


あの…。正直、助かります。

と、言うと。

あ、それはよかった。
と、安心したように笑った。


では、改めてよろしくお願いします。
えっと、お名前…は…


佐久間です!


さくま…さん?
なんとなく、可愛い。
くまさんみたいですね。見た感じも。

…あ、ごめんなさい。

ぷっ。千恵さん、やっぱり面白い。

クスクス笑うくまさんと、しばらく一緒に
笑っていた。






< 10 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop